2011年5月22日日曜日

自国を卑下するおのれの恥ずかしさ

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● 朝鮮日報より



nikkei BP net  2011年05月18日
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110517/270223/

東日本大震災 記事集約ポータル
田原総一朗の政財界「ここだけの話」

ベトナムで日本を卑下する自分の恥ずかしさ

 5月8日より数日間、ベトナムを訪ね、南部に位置する経済の中心で最大の都市ホーチミン市などをあちこち回ってみた。
 ベトナムはいま経済発展をとげている新興国の一つで、2010年の実質経済成長率は6.78%。
 約8600万人の人口のうち30歳以下が半分を占めると言われ、若くて活気のあふれる国だ。

■東南アジアで高まる大震災後の日本の評価

 在ホーチミン総領事館がベトナムに進出している日本企業30数社の支社長らを集めてくれ、さまざまな話をうかがい、私は驚き、そして恥ずかしい思いもした。
 話題は当然のことながら東日本大震災に及んだ。
 私は日本政府や東京電力の対応の甘さや遅さが目立つと述べたが、支社長らの話す内容はまったく違っていた。

 ベトナムを拠点にシンガポールやタイなど周辺諸国を仕事で訪れる彼らが聞くのは、ベトナムをはじめ各国が日本を見直し、称賛する声だそうだ。
 「日本人は素晴らしい。こんな国はほかにない」
と非常に評価が高まっているという。

 今回の震災で多くの方々が家族や家を失い、避難所生活を始めて2カ月になろうとしているのに不平も言わず、誰もが落ち着いている。
 マスコミのインタビューにも冷静に対応している。
 被災地から離れた東京では震災の当日、交通機関がマヒして数時間かけて歩いて帰宅した人が数多くいた。
 被災地でも東京でも、誰もが行列をつくって静かに待つ。暴動や盗みなどは起きない――。

素直に日本人は自分と自国に自信を持つべきだ

 大震災に遭った日本の様子がこのように現地で報道され、
 「こんな国は世界に日本だけだ」
と驚きをもって受け止められているという。
 そして、これほどの災害を被っても、落ち着いて行動し、自ら秩序をつくる日本は
 「今後、必ず成長するに違いない」
と言われているそうである。

 こうした話を聞かされ、
 私は日本政府や東京電力の批判ばかりしている自分を非常に恥ずかしく思った。
 私を含め多くの日本人は、自分の国や政府をけなしたり、過小評価や批判を繰り返したりしている。
 批判するほうが良心的であり、知的レベルが高いと私たちは誤解しているのではないか。
 もう少し素直に、日本人であることに誇りを持ち、自信を持つべきではないか。
 特に私のような世代は1945年の敗戦以後、世界に対して
 「日本はだめな国です」
と卑下する傾向にある。
 それは少し過剰なのではないか。
 そう感じたのは、ベトナムの人たちの強い向上心やまっすぐに前進する気持ち、すなわち日本人が失いつつあるものに触れたためかもしれない。

 初めて訪れてみて、ベトナムの素晴らしい成長ぶりに驚いた。
 その経済成長を象徴するかのように、道路は凄まじく混雑している。
 公共交通機関はほとんどなく、道は見渡す限り右も左もバイクばかりで、数千台はあろうかといった印象だ。
 運転しているのは男性だけでなく、女性も多い。
 バイクはほとんどが日本のホンダ製で、ベトナムではバイクを「ホンダ」と呼んでいる。

■社会主義国ベトナムの現実主義とおおらかさ

 私が訪れたときのホーチミン市の気温は32度ほどだった。
 年間の平均気温が28度と暖かい。
 男性はどちらかと言えばのんびりしている。
 暑いこともあり、ビールの消費量は昨年日本を抜いたらしいという話も耳にした。

 親しくしている会社の支社を訪ねてみると、ベトナムの人たちが多く働いていた。
 男性も女性もほぼ例外なく夜間の大学に通っているそうで、他の会社でもそれは普通のことだという。
 非常に勤勉なのである。
 そうした彼らの前向きな姿勢にとても驚いた。
 特に女性がたくましく感じられた。
 ベトナムという国はアメリカと中国に勝った国で、世界でも例がない。
 そのたくましさを垣間見た気がしたのである。

 ベトナムのあちこちに戦争記念館があり、アメリカがベトナム戦争当時、いかに残酷なことをしたかといった展示がされている。
 ところがベトナムはいま、そのアメリカとの関係がよい。
 そこにベトナムの現実主義を見る思いがした。

 ベトナムの正式名称はベトナム社会主義共和国である。社会主義を標榜しているが、経済は自由主義だ。かつて南北に分断されていたベトナムを統一したのは、ホー・チ・ミン氏が初代国家主席に就任した北ベトナム(ベトナム民主共和国)らの北側である。朝鮮半島に例えるなら、北朝鮮が全土を統治したようなものと言える。

 しかし、両者はまったく異なる。
 どこが違うのか。
 ホー・チ・ミン氏は家族に自分の跡を継がせず、集団指導体制をとった。
 彼はフランスに学び、近代的な手法を採用したのである。
 社会主義国は北朝鮮のように独裁的になりやすいが、ベトナムは違う。
 民主主義と言ってもよいほどのおおらかさがある。
 それがベトナムのエネルギーの源でもあるだろう。

 ベトナムの発展に改めて目を見張り、今後東南アジアの中心的な役割を担うのはベトナムではないかと感じた。

■ベトナムは原発2基を予定通り日本に発注する

 ベトナムが現在、
 「最もよい関係にある」
と言っているのは日本だそうだ。
 実際、バイクをはじめ自動車、トイレ機器、ドアガラスなど日本製品がいたるところで見られる。
 日本政府は原発と新幹線をベトナムに熱心に売り込んできた。
 昨年5月、当時の仙谷由人官房長官が原発を、前原誠司国土交通相が新幹線をそれぞれトップセールスするためにベトナムを訪れた。
 この二つは政府肝いりのプロジェクトなのである。

 ベトナムはその後、原発建設計画の第2期分として原発2基を日本に発注することを決定した。
 いま福島第一原発事故の影響が心配されているが、ベトナムは予定通り発注するだろう。
 脱原発と言っているのはドイツ、スイス、それに日本ぐらいのもので、他の国は脱原発など真剣には考えていない。
 ベトナムも同じだ。ベトナムには地震や津波の心配がないという。

 一方、新幹線の導入は難しそうだ。
 ベトナム政府は承認したものの、国会が政府案を否決している。
 この国会の決議を反映させるなどはベトナムのおもしろいところで、議会制が進んでいると言える。

 なぜ国会が反対したのか。
 ベトナムでは、北のハノイから南のホーチミンまで約1500キロを縦断するための高速鉄道計画が検討されている。
 ところが実際は、両都市の間にはそれほど大きな都市はない。
 日本なら東京と大阪の間に名古屋や京都があり、大阪の先には岡山や広島といった都市がある。
 しかし、現在のベトナムはまだそういう状況にはないから、ハノイとホーチミンを結ぶだけなら航空機のほうが安上がりだというのである。

■ベトナムへ環境配慮型のインフラ輸出を

 しかし、将来はどうだろうか。
 ハノイとホーチミンの間に新しい都市を整備する動きが出ている。
 それが実現すれば新幹線のような高速鉄道は必要になる。
 また、ホーチミンに地下鉄をつくる可能性もあるし、新しい道路の建設も考えられる。
 ベトナムは「工業化と近代化」を進め、2020年までに工業国入りを目指している。
 これから大いに発展すると期待される国なのだ。

 対日感情が大変よく、将来の可能性もあるとなれば、日本はインフラ輸出でベトナムの近代化を手伝ったらどうだろうか。
 新しい都市づくりや道づくり、鉄道の敷設、上下水道の整備など、日本の企業はいろいろなプロジェクトを提案すればよい。
 日本は官民で環境配慮型のインフラ輸出を手がけるべきである。

 私はベトナムの旅で果物をたっぷりと味わった。
 日本では見たこともない果物がたくさんあって、それがどれも美味しい。
 ホーチミン市がある辺りはメコンデルタと呼ばれ、メコン川支流に囲まれた肥沃な土地だ。
 船で20~30分かけて中州に渡ると、そこにも果物屋さんがたくさんある。
 目の前にある木から果物をもぎ取って食べさせてくるのである。
 ベトナムはこうした素晴らしい自然を守りながら近代化を進めてもらいたいと思う。




聯合ニュース 2011/05/19 19:25
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2011/05/19/0200000000AJP20110519004000882.HTML

ベトナム原発受注に向け、韓国電力が実務陣派遣

【ハノイ19日聯合ニュース】
 韓国電力公社の海外原子力発電開発次長が19日にベトナムを訪問し、ベトナム電力公社(VEN)関係者らと会い、同国原子力発電所建設への参入可能性を打診する。

 同社はEVNのファム・レ・タイン社長ら、原発事業の中核関係者らを韓国に招き、韓国の原発技術の優れた点などについて詳しく説明するとともに、稼働中の韓国型原子力発電所の見学を実施する計画だ。

 ベトナムは今後、少なくとも4号機、多ければ10号機まで原発を建設するとの腹案だ。
 原発1号機をロシアに発注。
 2号機は昨年10月のベトナムと日本の首脳会談で、日本企業が建設事業に参加することに原則的に同意するという共同声明を発表しており、事実上、日本の受注が決まったとみられる。





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