2011年5月26日木曜日

スイス:脱原発へ

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● NHKニュース



NHKニュース 2011年5月26日 9時39分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110526/t10013116881000.html

スイス“原発廃止”閣議決定

 スイス政府は、福島第一原子力発電所の事故を受けて、国内にある5基の原子炉を順次、廃止にする方針を閣議決定し、ドイツに続いて「脱原発」に向けて大きくかじを切ることになりました。

 この方針は、スイス政府が25日、閣議決定したものです。
 それによりますと、スイス国内の
 「電力需要の40%を賄う5基の原子炉」
について、今後は、古くなったものから順次、運転を停止し、2034年までには、すべての原発を廃止にします。
 これについて、スイス政府は
 「原発の安全対策を次々に強化していこうとすると費用が非常に割高になる」
と指摘し、代わりに太陽光や風力などの再生可能エネルギーを大幅に増やしていく方針を示しています。
 スイスでは、今月22日におよそ2万人の市民が参加して大規模な反原発デモが行われるなど、東京電力福島第一原発の事故を受けて、市民の間で原発への不安が広がっています。
 順次廃止の方針は、来月開かれるスイスの議会で審議されることになっており、正式に決まれば、ドイツに続いてスイスも「脱原発」に向けて大きくかじを切ることになります。




ウオールストリートジャーナル 2011年 5月 26日 8:07 JST
http://jp.wsj.com/World/Europe/node_241493

スイス、脱原発へ

【チューリヒ】スイス政府は25日、福島原子力発電所での事故を受けて、既存原発を段階的に廃止し、他のエネルギー源で電力需要を満たしていくことを閣議決定した。

 福島原発でのメルトダウンはどこでも発生する恐れがあるとの抗議活動を背景に、欧州ではまずドイツが脱原発を打ち出しており、スイスは2番目。
 スイスのロイトハルト・エネルギー相はベルンでの記者会見で、
 「政府は原発の段階的廃止を決めた。
 確実で自立的なエネルギー供給を確立したいからだ」
とし、
 「福島の事故は原発のリスクが高すぎること、そしてこれが原発のコストを高めることを示した」
と強調した。

 スイスには5基の原子炉があり、その発電量は全体の約40%を占めている
 残りはアルプス山中や河川に設けられた1000カ所以上の水力発電で賄っている。
 同エネルギー相は、完全な脱原発をいつ達成するのかはまだ決まっていないとしているが、専門家らは2040年ごろに実現できるのではないかと見ている。
 5基の原発の運転許可は2020~40年に期限を迎える。

 アナリストらによると、福島原発の事故で世論が変わっているため、政府の決定への抵抗は限定的なものにとどまる可能性がある。
 ただ、政府の決定が最終的なものになるまでに議会での審議が行われ、また、同エネルギー相によれば、国民投票も実施される可能性があるという。

 一方、主要8カ国(G8)サミットのためパリを訪れた菅直人首相は経済協力開発機構(OECD)加盟国の代表の会合で、
 20年代初めまでに再生可能エネルギーの比率を20%にまで引き上げる新エネルギー政策
を導入する方針を示した。
 首相は、
 太陽光発電コストを20年までに現在の3分の1に、30年までに 6分の1にする
と述べた。

 同首相は
 「日本は再生可能エネルギーをエネルギー供給の柱とすることに全力を挙げる」
と語った。
 今回の発言は、
 再生可能エネルギーの利用拡大についてこれまでで最も詳細なものだ。

 スイス政府の脱原発決定は同国の電力会社にとって衝撃だった。
 大手のアクスポ・ホールディングとBKW FMBの両社は新しく2基の原発を建設し、約 100億ドル(8200億円)の投資をすることを約束していた。
 両社は、スイスが高価な輸入電力への依存をやめようとするなら、原発の新規建設が必要だと強調していた。

 アクスポのカーラー最高経営責任者(CEO)は
 「確実なエネルギー供給に関して言えば、政府の決定は問題をもたらす」
とし、政府決定には徹底的な分析が必要であり、最終的に国民投票を実施すべきだと語った。

 1000以上の企業の団体であるスイス機械・電気工学連盟(スイスメム)は、政府決定は
 「原子力に代われるものがないため、問題がある」
と批判、経済団体のエコノミースイスは、決定は同国経済に打撃を与え、雇用を危険にさらすことになると警告した。

記者: Goran Mijuk and Markus Germann





CNN.co.jp 2011.05.31 Tue posted at: 09:26 JST
http://www.cnn.co.jp/photo/4068.html

2022年までに原発全廃 ドイツ連立与党が合意

 ドイツの連立与党は2022年までに同国内の原子力発電所をすべて停止することで合意した。連立を組むキリスト教民主同盟と自由民主党の協議を経て、レトゲン環境相が30日に発表した。
 自由民主党はこれまで原発廃止の期限設定に反対していた。
 野党各党は以前から脱原発を支持する姿勢を打ち出している。

 環境相によると、古くなった7基の原発とクリュンメル原発は再稼働を見送り、現在稼働中の原子炉のうち6基は遅くても21年までに停止。
 最新型の原発も22年までに停止する計画。

 原発廃止によって不足する電力をまかなうため、政府は再生可能エネルギーへの転換に着手し、エネルギー研究のための予算を増額する。
 メルケル首相は3月に、原発の稼働期間を延長する計画について再考すると表明。
 ベルリンで開いた記者会見で
 「科学的には不可能としか考えられない事態でも実際に起こり得ることが、日本での出来事によって示された」
と指摘した。




ウオールストリート・ジャーナル 2011年 5月 31日 6:51 JST
http://jp.wsj.com/World/Europe/node_243603

ドイツ、2022年までに原発を全面停止

【ベルリン】ドイツの連立与党は大きく政策転換し、2022年までに17基の原子炉をすべて停止すると発表した。
 日本の原発危機を受けて脱原発を決定したのは主要国としては初めて。

 ドイツのメルケル首相は30日、政府が任命した委員会の提言に従って、8基の原発を直ちに停止し、残りについても大半を2021年までに停止すると発表した。
 3基は予備電力のために2022年まで稼動を続ける可能性がある。

 メルケル首相は、数人の閣僚とともに決定を発表した記者会見の場で、
 「少なくとも私自身にとって福島第1原発の事故は想像を絶するものであり、原子力エネルギーの役割を再考する必要に迫られた」
と述べた。
 さらに、
 「この計画はドイツにとって大きな挑戦となるが、わが国を効率の高い再生エネルギー時代へ移行する最初の工業国とするチャンスだ」
とも述べた。

 メルケル首相は昨秋、一部の原子炉の耐用年数を当初計画より10年以上長い2030年以降まで延長する計画を発表して論議を呼んだばかりであり、今回の動きは180度の方向転換といえる。
 これは、2002年に社会民主党と緑の党による中道左派連立政権が決定した合意に実質的に逆戻りするもの。

 日本の原発事故によってドイツ国内では原子力エネルギーに対する懸念が高まっており、福島第1原発が最初に爆発してから数日後にはメルケル首相は旧式原発7基を停止させ、原子力エネルギー戦略の見直しを命じていた。
 その見直しに基づく今回のドイツ政府決定は、日本の原発事故を受けた国家の原子力エネルギー方針の転換としては最も大きなものだ。
 日本では原子炉の新規建設計画を実質的に凍結、台湾やイタリアは安全性を見直すため、新たな原発計画を保留としている。
 スイス政府は先週、最終的な脱原発を決定したが、段階的廃止案であり、脱原発の完全な実現は2030年以降となる可能性がある。

 ドイツでは国民の7割ほどが原発に反対しており、ドイツほど原発が問題となっている国は少ない。
 福島第1原発事故が発生して以来、国内各地で数百件の反原発デモが行われてきた。
 ドイツ産業界では、今回の決定は想定内ではあったものの、政治的な動機に基づいた性急なものであり、その結果、電力価格が高騰し、ドイツの競争力が脅かされると非難する向きもある。
 ドイツの電力価格は既にこの10年で2倍になっており、国内電力の50%近くを消費するドイツ産業界は特にこの問題に神経を尖らせている。

 30日、メルケル首相は、新たな脱原発方針によってドイツの再生可能エネルギー目標が影響を受けることはないと述べた。
 同目標では、2050年までに総発電量の80%を再生可能エネルギーとすることを目指している。
 現在、ドイツの消費電力のうち、再生エネルギーが占める比率は16.9%。
 政府はまた、現在、総電力の22.6%を占める原子力発電の停止期限が厳しくなることで、それが再生可能エネルギーへの投資を促し、経済的恩恵となる可能性があるとした。

記者: Patrick McGroarty and Vanessa Fuhrmans





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