2011年2月2日水曜日

UAE向け原発輸出:工式はなぜ延期されたか?

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●2009年12月27日、李明博(イ・ミョンバク)大統領とアラブ首長国連邦(UAE)のハリファ大統領が見守る中、金双秀(キム・サンス)韓国電力公社社長とUAE原子力公社のムバラク会長が原子力発電事業に関する契約書に署名した。(朝鮮日報より)



朝鮮日報  2011/02/02
http://www.chosunonline.com/news/20110202000035
UAE向け原発輸出、巨額融資非公表に批判

 韓国が2009年12月に受注したアラブ首長国連邦(UAE)での原子力発電所建設事業に対し、韓国政府が100億ドル(約8100億円)を 28年間にわたり同国に融資する方向で準備を進めている。
 UAEに建設される原発4基の総工費186億ドル(約1兆5100億円)の半分以上を韓国が支援する格好だ。

 韓国政府は「日本、フランスなども原発輸出に際し、金融支援を行っている。輸出国による金融支援は一般的な慣行だ」との立場だ。
 しかし、韓国政府は受注当時、金融支援に関する合意内容を公表しなかったので、受注成功という功績だけを誇示するため、あえて公表を控えたのではないかという批判を受けている。

2009年12月27日、李明博(イ・ミョンバク)大統領とアラブ首長国連邦(UAE)のハリファ大統領が見守る中、金双秀(キム・サンス)韓国電力公社社長とUAE原子力公社のムバラク会長が原子力発電事業に関する契約書に署名した。

■金融支援をなぜ隠したか

 論点は三つある。第一に、受注当時「UAEが事業費全額を負担する」という韓国政府の発表とは異なり、韓国が金融支援を行う内容の裏契約が存在したかだ。
 第二に、韓国よりも国家格付けが高いUAEに低金利で融資を行えば損失が生じるとの指摘だ。
 第三に、当初昨年末に予定されていた原発の起工式がなぜ延期されているかという疑問もある。

 問題は韓国政府が受注後、韓国がUAEに金融支援を行うことを公表していなかった点だ。

 知識経済部(省に相当)の金正寛(キム・ジョングァン)エネルギー支援室長は
 「入札当時、UAEは全ての参加者に金融支援を要求したため、輸出入銀行を通じた100億ドルの支援を準備しているが、融資条件などは契約当事者による秘密に当たるため公表しなかった」
と説明した。

 契約締結を指揮したチェ・ギョンファン前知識経済部長官は、
 「日本やフランスなど競争国も、自国の金融機関を通じた資金支援を行っている。
 裏契約(という指摘)は話にならない」
と反論した。

 原発のような大規模事業を推進する際、受注国の金融機関が資金支援を行うのは一般的だというのが韓国政府の主張だ。
 最近、トルコでの原発受注競争に参入した日本も多額の金融支援を契約条件に掲げている。
 フランスもヨルダンの原発受注に向けた金融支援を計画している。

 しかし、国策銀行を通じ、100億ドルという巨額の金融支援を行うことを公表しなかったのは大問題だ。
 仮に融資が焦げ付いた場合、国民の税金で穴埋めしなければならないからだ。

 国策シンクタンク関係者は「最低限、韓国が負担すべき部分があるという点を公表してしかるべきだ。
 政府の業績を誇張するために意図的に隠したようだ」と指摘した。

■金融支援で損害は発生するのか

 韓国政府は輸出入銀行を通じ、期間28年で100億ドルを UAEに融資する計画を進めている。
 しかし、信用格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)によるUAEの国家格付けは「ダブルA」なのに対し、韓国は「シングルA」で、韓国の方が格付けが低い。
 韓国がUAEよりも高い金利コストで国際金融市場から資金を調達し、UAEの基準に合わせた低金利で融資を行えば、逆ざや(損害)が生じるとの見方がある。

 これについて、輸出入銀行のキム・ヨンモン原子力事業チーム長は、
 「国家間の輸出は、経済開発協力機構(OECD)ガイドラインに従わなければならないため、低金利で融資することはない。
 損害が生じることはないはずだ」
と説明した。

 OECDガイドラインとは、OECD加盟国の国策銀行が商業銀行より低金利で輸出向け融資支援を行うことを禁じる規定だ。
 キム・チーム長は「万一韓国が提示した金利が高ければ、UAEは他の商業銀行から資金を調達すればよい」と指摘した。

 ただし、輸出入銀行が28年という長期融資を前提に資金調達を行うのは無理がある。
 韓国金融研究院のチョン・チャンウ先任研究委員は「融資期間が長すぎるため、市中銀行が資金支援に参加するのは難しいのではないか」と指摘した。
このため、輸出入銀行は協調融資を行う銀行団を昨年第1四半期までに結成する計画だったが、いまだに実現していない。

■起工式はなぜ延期されたか

 韓国政府が当初、昨年末にUAEで行うとしていた起工式は無期限延期されている。
 一部には韓国が提供を約束した金融支援がうまくいかず、UAEが起工式を延期しているではないかとの見方もある。

 韓国政府関係者は「UAE内部の環境影響評価などで日程が遅れているもので、早ければ来月にも起工式が行われる」と説明した。

 施工を担当する韓国電力公社の関係者は「現在敷地の整備作業や建設労働者の宿舎建設を進めている。
 計画通り、来年下半期には本工事に入る計画だ」と述べた。
 同公社は2017年から毎年1基、20年までに計4基の原発を完成させる計画としている。



 なんとなくきな臭さかったこの韓国の「UAE向け原発輸出」。
 原発本体の建設能力がないのに輸出したり、軍事訓練がセットになっていたりでまるで煙の中にあったが、だんだんと実態が浮かび上がってきたようである。
 現在、商業原発本体の建設能力のある国は、フランスと日本の2カ国しかない。
 中国の原発はちょっと安全性に問題がある。
 ロシアは過去に事故を起こしたことがあり、これも問題あり。
 アメリカはスリーマイル事故以来原発から遠ざかっており、その原発会社を買収したのが日本企業。
 確か記憶によれば、日本では三菱・東芝・日立の3社が技術を持っているはずである。
 韓国のUAE向け輸出はフランス・東芝グループに原発本体の工事を依頼して、受注したはずだと思ったが。
 まるで自国に技術がないのに商売してしまうこのバイタリテイーはすごい。
 同じように、自国で設計できず、欠陥マクラギを敷いて走らせているフランス製新幹線を輸出しようとしているから、敬服に価する。
 だが、そのため一歩つまずくとフォローができず、後が怖い。
 「安かろう、悪かろう」で通る時代はすでに過去のものになっている。
 奈落に真っ逆さまなんてことにないように、地道に歩んで欲しいものである。

 そういえば中国も日本から学んだ新幹線を輸出しようとしている。
 こちらは中国国内に新幹線を敷設したとき、日本から技術の供与を受けているし、それをベースにして国内に新幹線網を張り巡らそうという計画があり、それを実行してさまざまな技術的経験をしてノウハウを取得しているから見通しがたつ。
 が、韓国はそれがない。
 これ、ちょっと危うい。




朝鮮日報  : 2011/02/19
http://www.chosunonline.com/news/20110219000035

危機説まで浮上、UAE原発受注の疑惑と真実



 昨年末に予定されていたアラブ首長国連邦(UAE)での原発起工式が先延ばしとなっている中、さまざまな疑惑が浮上している。
 民主党は18 日、政府がイスラム債関連の租税特例法を改正しようとしているのは、UAEの原発と関係があるのではないかとの疑問を投げ掛けた。
 このほか、韓国が金融支援を実行できず、UAEの原発事業が契約解消の危機に直面しているのではとの論議もある。
 韓国政府は
 「金融支援はUAE原発事業の契約条件ではなく、全く関係ない。3月中に起工式を行うことでUAEと合意した」
と説明した。

■本契約は結ばれたのか

 韓国政府は輸出入銀行を通じ、総事業費186億ドル(約1兆5500億円)のうち100億ドル(約8300億円)の金融支援をUAEに提供する見通しだ。
 こうした中、金融支援がまだ実行されていないことから、本契約が結ばれていないのではないかとの疑惑が浮上した。

 契約当事者の韓国電力公社幹部は
 「2009年12月に本契約を交わした。この契約に従い、用地調査作業、整地作業を既に進めている」
と説明した。
 知識経済部(省に相当)のパク・ヨンジュン第2次官は
 「昨年末までに工事代金約6000億ウォン(約450億円)が確実に支払われた」
と語った。

 実際に現代建設、サムスン物産などは、現地の原発予定地で用地造成を行い、作業用の事務所、宿舎を建設中だ。
 建設業者が本契約の締結事実も確認せずに工事を進めることは考えにくく、本契約が締結済みであるのは確実とみられる。

■起工式が延期された理由

 韓国電力公社は昨年9月に発表したUAE原発事業の推進計画で、昨年12月に起工式を行う方針を明らかにした。
 しかし、2カ月が過ぎたが、起工式は行われていない。
 その理由として、韓国がUAEに約束した金融支援を実行できず、起工式を開くことができないのではないかという疑惑が指摘されている。

 パク次官は「大型プロジェクトの起工式は、出席者の日程によって、工事の段階で行われるケースが多い」と述べた。
 そこで、UAEの原発工事に参加している建設会社などを取材したところ、起工式は来月中旬ごろに現地で行われる予定で、既に準備作業が進められていることが確認された。

■イスラム債券法改正はUAE原発のため?

 民主党は韓国政府がイスラム債券法施行でイスラム圏の資金を調達し、UAEの金融支援に充てようとしているのではないかと主張している。

 しかし、政府と金融業界は、イスラム債発行と今回のUAEでの原発受注は全く関係ないとしている。
 韓国輸出入銀行のユン・ヒソン国際金融部チーム長は
 「UAEの原発建設が目的ならば、低金利でドル建て債券を発行するなど、さまざまな方法で資金調達が可能だ」
と述べた。
 韓国政府は豊富な「オイルマネー」を導入するため、イスラム債の発行は必要だとの立場だ。
 これまでに100億ドルの資金調達ができていないのは事実で、論争は続く見通しだ。

■金融支援なしでUAE原発の建設は可能か

 100億ドルの金融支援が実現しなければ、UAEは工事を進めないのではないかという見方もある。

 2009年の入札当時、UAEは韓国だけでなく、フランス、日本などすべての入札参加国に対し、輸出金融による融資意向書の提出を求めた。
 金融支援は前提条件ではなく、文字通り「意向書」にすぎない。
 韓国電力公社の幹部は
 「本契約に金融支援に関する内容は全く含まれていない」
と述べた。

 それにもかかわらず、韓国政府がUAEへの金融支援を推進する理由について、パク次官は
 「意向書の内容をできるだけ履行したい。
 今回金融支援を行えば、韓国の金融能力を立証することができ、今後別の原発を受注する上でも役に立つ」
と説明した。
 実際に、原発受注戦で最も重要な評価項目は金融支援能力だ。

■100億ドルの金融支援は適切か

 100億ドルは総事業費186億ドルの53.8%に相当する。
 民主党などからは「屈辱的条件だ」との声が出ている。

 知識経済部の関係者は
 「日本はかつてベトナムの原発を受注する際、事業費全体の80%近い金融支援を行う条件を提示した」
と指摘した。
 一方、ロシアは潜水艦の提供まで約束したとされる。
 一般のプラント受注市場でも50-70%の金融支援は一般的であり、UAEに対する金融支援が行き過ぎたものとは言えない。




朝鮮日報  : 2011/02/19
http://www.chosunonline.com/news/20110219000034

原発受注:韓国政府の輸出金融支援、わずか13%



 アラブ首長国連邦(UAE)での原発受注に対する金融支援を求める声が政界から出ていることに関連し、韓国輸出入銀行の金竜煥(キム・ヨンファン)銀行長は18日、
 「UAEから原発受注に関連し、100億ドル(約8300億円)を借り入れてほしいという要求が3月にも示されると聞いている。
 その際に具体的な資金調達方法や金利などを論議することになる」
と述べた。

 韓国輸出入銀行は、韓国企業に対し、融資、保証などの輸出金融を支援する国策銀行だ。
 UAEでの原発受注と同時に韓国政府が進める100億ドルの融資は、輸出入銀行が支援する輸出金融としては最大規模となる。
 金銀行長は
 「今回のUAEの原発に絡む融資は資金調達が可能だ」
との見通しを示した。
 一度に100億ドルを融資するのではなく、工事の進行状況に沿って、10年間に毎年約10億ドルを調達すればよい。
 輸出入銀行は輸出金融目的で2009年、10年にそれぞれ81億ドル、83億ドルを調達したのに続き、今年は88 億ドルの資金を確保する計画だ。

 しかし、金銀行長は
 「韓国が今後も海外で原発を受注するためには、資本金を拡充しなければならない」
と述べた。
 資本金の金額が増せば、財務健全性が向上し、それを基に海外で容易に資金調達を行うことができるようになる。

 実際韓国が日本、フランスなど他国との競争に打ち勝ち、原発などを継続して受注するためには、
 ▲海外での資金調達金利の高さ
 ▲輸出金融機関の資本金不足
 ▲法的な壁
-などを克服しなければならない。

 中国と日本は豊富な外貨準備高を活用し、低金利で輸出金融機関に資金を融資するが、韓国は海外での資金調達金利が先進国に比べ高い上、金融危機でなければ、外貨準備を使用できない点も弱点だ。
 09年に各国が行った輸出金融で政府の支援が占める比率は、米国(100%)、日本(87%)、スウェーデン(50%)に対し、韓国は13%にとどまっている。

 輸出金融に関連する法律もネックだ。
 1969年に制定された輸出入銀行法では、急速に変化する輸出市場に対応するのが困難だと指摘されている。
 輸出入銀行は昨年、海外債務を保証できないという法律の定めにより、相手方の保証要求を受け入れることができず、大型プロジェクトの受注機会を逃した。

 このほか、中東に原発を輸出するためには、イスラム債を発行し、現地で資金の一部を調達するのが有利だとの主張もある。

 企画財政部(省に相当)の金翊柱(キム・イクチュ)国際金融局長は
 「韓国もより低コストで海外資金を調達できる窓口を多様化する必要がある」
と指摘した。



『 
朝鮮日報  : 2011/02/19
http://www.chosunonline.com/news/20110219000032

原発受注戦、韓国が2連敗した理由



 韓国は2009年12月にアラブ首長国連邦(UAE)で原発建設を受注して以降、昨年実施されたベトナム、インドの原発受注戦で日本、フランス、ロシアに相次いで苦杯を喫した。
 契約直前だったトルコの原発も、投資費用回収に向けたトルコ政府の保証問題で意見が食い違い、事実上行き詰まった。
 そのすきを突いた日本は韓国よりも多額の金融支援を条件として提示し、トルコ政府と交渉を進めている。

 韓国の最大の弱点として資金力が挙げられる。
 知識経済部(省に相当)の関係者は
 「最近原発を発注する国はエジプト、南アフリカなど開発途上国なので、どこも金融支援や借款供与などを要求してくる」
と話した。

 同関係者は
 「韓国には原発輸出を下支えできるほど大規模な資金調達が可能な金融機関が不足している。
 ベトナム、インドの原発受注も資金不足で失敗した」
と続けた。

 最近、輸出支援を行う韓国輸出入銀行の資本金を増強しようとしているのも、UAEの原発が目的というより、今後の原発受注戦に備える側面が大きい。

 日本、フランスなどライバルが韓国を強くけん制していることもある。
 知識経済部のパク・ヨンジュン第2次官は「日本とフランスの企業が韓国企業を排除し、原発受注戦で技術面、資金面での提携を行うケースもある」と指摘した。




朝鮮日報 : 2011/02/23 07:21:37
http://www.chosunonline.com/news/20110223000001

【社説】原発の安全管理怠れば輸出も困難に

 今月20日の放射線漏れ事故の際、韓国原子力研究院が最も基礎的な規定と手順をきちんと守っていなかったことが分かった。
 放射線非常計画実施手順には、放射線の量が基準値に比べ急激に上昇してから15分経過しても基準値の10倍以下にならなければ、非常発令の措置を取ることになっている。
 しかし研究院では、午後1時8分に事故が発生していたにもかかわらず、3段階ある非常事態警報の第1段階「白」(放射線汚染の範囲が原子炉のある施設の内部に限られた場合に発令される)が午後2時32分にやっと発令された。
 約1時間24分もかかったことになる。現場の担当者が直ちに措置を取るべき規定を守らず、外部にいた幹部に連絡し、皆集まった後に非常発令を出すかどうかについて会議を行い遅れたという。

 非常発令を出す際には、すぐに市や道の放射能防災対策本部に通報し、メディアにも知らせることになっている。
 研究院はこれも守らなかった。
 防災対策本部には2時間経過した午後4時40分になってやっと通報し、メディアには午後5時が過ぎてから報道資料を送った。

 幸い、今回の事故は原子炉がある建物内に放射線が漏れただけだったため、大きな被害は発生しなかった。
 しかし、放射線漏れは致命的な被害を出す可能性がある。そのため基本的な規定や手順を守らなかったことについて、厳しく責任を追及すべきだろう。

 そうでなくとも、研究院では2004年の重水漏れ事故をはじめ、ほぼ毎年大小の事故が起きている。研究院周辺にはテクノ・バレーや大規模マンションが立ち並んでいる。
 安全管理に少しでも隙があれば、直ちに住民の被害につながる。
 非常事態の際には迅速な後続措置や住民避難が行われなければならない。

 先日、全羅南道の霊光原子力発電所では、02年の試運転の際に作業員のミスによりモーターの中に入り込んでいたドライバーのせいで、原電5号機が故障した。原発を海外に輸出しようという国ならば、それにふさわしい原子炉安全管理システムを備えていなければならない。






 <future design> 



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