2011年2月4日金曜日

韓国の製造業による成功の方程式は限界を迎えたのか?


● 朝鮮日報「【特別企画】韓・中・日 新経済大戦」より



 最近の朝鮮日報には危機感が如実にあらわれている。
 中国の急速な台頭によって、韓国の行くすえに不安をいだいている。
 そのためか、これまでの浮かれることをやめて、足元をみようという姿勢が少しづつだがみえてきている。



朝鮮日報  : 2011/02/03 09:17:06
http://www.chosunonline.com/news/20110203000007

変わる中国・日本、韓国が歩むべき道

 なぜ韓国の製造業による成功の方程式は限界を迎えたのか-。

 われわれの診断ははっきりしている。
 韓中日3カ国の政府による産業政策、企業による投資と経営戦略、将来性のある産業への投資動向を分析すれば、
 「韓国による成功の方程式がこれ以上効果を発揮するのは難しい
ということは明確だ。
 では、そうした診断の根拠は何か。

 まず、中国の浮上と戦略変化だ。
 韓国が半導体、携帯電話、造船、テレビなどの製造業分野で世界市場を席巻できた背景には、「選択と集中」を通じた先制的な投資戦略があった。
 不況期に世界の企業がリストラやコスト削減に取り組む中、韓国企業は反対に果敢な投資で先行企業に追いついた。
 日本企業がハイエンド市場に集中したのに対し、韓国は新興開発国で、中産階級を中心とした大衆消費市場(ボリュームゾーン)を攻略した。

 ところが、そこに中国が登場した。
 中国は伝統的な製造業分野で韓国の成功モデルを徹底的にベンチマーキング(優良な実例に倣って目標設定すること)し、韓国企業よりも速いスピードで、韓国を上回る選択と集中を通じた大規模な投資戦略を駆使している。
 未来産業となる太陽光、風力、電気自動車、医療バイオ、通信設備の分野では、中国政府による強力な支援を受け、韓国が到底追い付くことのできない思い切った投資を行い、韓国企業を圧倒する成果を上げている。
 まるでカエルが飛び跳ねるように、中間技術と伝統産業分野を大きく飛び越え、先端技術、先端産業の育成に直接取り組む
 「リープフロッグ(カエル跳び)式
の発展を遂げているのだ。
 われわれが追撃型の成長モデルだとすれば、中国はジャンプ型の成長モデルと言える。

 中国の浮上は、「雁行(がんこう)型」と呼ばれたアジア各国横並びの産業発展モデルも揺るがした。
 日本という雁(かり)が先頭を飛び、その後ろを韓国、台湾が、さらにその後ろを東南アジアと中国が追いかけるパターンはもはや当てはまらない。
 中国は未来産業分野で韓国、台湾はもちろん、日本を飛び越え、先頭をリードしつつある。

 中国のそうした試みを可能にしているのは、米国に匹敵する世界最大の内需市場があるからだ。
 風力、太陽光、電気自動車はまだ成熟した市場ではないが、中国政府は関連投資を行う企業、消費者に多額の補助金を支給し、市場形成に取り組んでいる。

 中国だけがわれわれを脅かしているわけではない。
 これまで技術的な優位を背景として、独自の経営戦略を取ってきた日本が変わりつつある。
 日本は、露骨なまでに「韓国をベンチマーキングしよう」とのスローガンを掲げ、韓国の成功モデルに倣おうと取り組んでいる。
 とりわけ日本企業の間では、サムスン電子に学ぼうというのが一つの潮流となっており、日本政府もそれに加勢している。
 韓国が大統領まで出陣しての総力戦でアラブ首長国連邦(UAE)の発電所建設を受注すると、日本政府は原子力発電、高速鉄道の受注に向け、官民共同機関を結成し、韓国式のインフラ輸出戦略に乗り出した。
 仁川空港に各国の航空会社が集中すると、羽田、成田空港の改造にも着手した。
 さらには、経済産業省に「韓国室」を設置し、韓国に対する徹底した分析を開始した。

 日本企業は既に動き始めている。
 これまでの高価格、先端製品中心の戦略を脱し、韓国企業が優位に立つアジアの中低価格市場への参入を強化している。
 収益は大きくないが、市場規模が大きいボリュームゾーンを攻略し、韓国企業の地位を脅かしている。

 われわれが未来に向けて新たな戦略を立てなければならない理由はそこにある。

 われわれはこれまでの力強さに加え、賢さを身に付ける必要がある。
 これには技術がカギとなる。われわれがチャレンジすべき技術分野では、短期間に成果が表れない技術とさまざまな異業種の知識の融合が必要だ。
 韓中日の激戦の中で、われわれが必ずや確保すべき技術が何かを徹底的に分析し、そのための教育システムや制度が何かを探らなければならない。

 われわれの強みと成功の方程式は、もはや妙薬としては通じない。
 100年前の韓日併合当時、韓中日は互いに異なる視点から世界を眺めた。
 それが 100年の間に3カ国の違いを生んだ。
 3カ国が再び激しく競い合う現在、われわれは今後100年間の勝負に責任を負わなければならない時代に生きている。




朝鮮日報  2011/02/03 09:19:01
http://www.chosunonline.com/news/20110203000010

中国、コピー大国から特許大国へ

 2008年に国際特許出願件数が最も多かった企業はどこか。

 米国のマイクロソフトでも、日本のトヨタ、ソニー、パナソニックでもない。
 はたまた韓国のサムスン電子でも、LG電子でもない。
 答えは「華為技術」という中国の通信設備メーカーだ。

 華為は世界知的所有権機関(WIPO)の国際特許出願件数ランキングで1位の1737件を記録し、それまで1位だったパナソニック(1729件)を2位に追いやった。
 中国企業が首位に立つのは初めてだ。
 華為は09年、再びパナソニックに抜かれ2位に転落したが、両社の出願件数はわずか44件の差だった。

 安価な労働力に依存する「世界の工場」、独自技術を持たない「コピー大国」だった中国が、特許大国へと姿を変えている。
 研究開発と創意の結果物である特許の出願が急激に増え、いつしか日米に追いついた。
 日本経済新聞は「研究開発新興国の存在感」と題する記事で、「筋肉質」だった中国が「頭脳型」に変身している現実を報じた。

 WIPOによると、中国企業による08年の特許出願件数は20万3257件。
 これは10年前の14倍に上る数字だ。
 日本(50万件)、米国(39万件)とともに世界のトップ3を成している。

 金融危機の余波で世界の研究開発支出が縮小し、10年ぶりに先進国の特許出願件数が減少する中、2008-09年に中国の特許出願件数は 17.7%増加した。
 中国政府が全国に煙突のない先端技術研究団地を建設するなど、国家主導型の研究開発を続け、民間企業の特許出願費用を負担するなど後押しした結果だ。

 特許専門機関の英トムソン・ロイター・サイエンティフィックは、中国が2012年に米国を抜き、世界1位の特許出願国になるとの報告をまとめた。
 過去5年間の伸びからみて、中国は11年に日本を、12年には米国を抜き去り、特許出願件数でトップに立つとの分析だ。

 中国の特許出願は、生命科学やエネルギーなど未来の戦略産業で急増している。
 環境分野では出願件数が既に日本、米国、欧州を上回った。
 日本の科学技術政策研究所によると、世界の主要学術雑誌に掲載された中国の科学論文は08年に10万4157件を数え、米国に次ぐ2位となっている。





 <future design> 



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