2011年2月4日金曜日

2つの選択肢、生き残りをかけて

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● 「韓・中・日 新経済大戦」より


 自動車分野については韓国の活躍をほとんど聞かない。
 旧来タイプの自動車を製造し売りまくっているだけで、業績だけはいいが明日がまるで見えていない。
 下の記事にもある通り、5-10年後には悪夢のような現実を目にすることになりそうである。
 おそらく、現代自動車は中国に買収され、韓国はバッテリーその他の部品製造メーカーとして生き残る可能性が残された道のように思えてならない。
 なにしろ、上の図で分かるように韓国の自動車投資計画はたったの200億円。
 これあの、ドラマチック衛星「ハヤブサ」の費用と同じ。
 たったそれだけ。
 何しろ中国は日本の開発費の10倍の費用を注ぎこんでいる。
 圧倒的な差がつくわけである。
 この現実を目の前にすると、韓国自動車に未来はない、ということが明瞭に分かってくる。
 よって、どのような形で生き残りをかけるか、がテーマとなってくるだろう。



朝鮮日報  : 2011/02/04 10:05:26
http://www.chosunonline.com/news/20110204000016

電気自動車開発で中国が韓国をリード

 韓国は、自動車産業の後発国の中でも最も成功した国とされている。
 独自の技術で独自のモデルを開発することに成功し、2005年以降、世界第 5位の生産国に浮上した。
 中国の自動車産業は60年の歴史を有しているものの、世界に向けて輸出する独自モデルの開発には失敗した。
 しかし、未来の自動車市場は様相がやや異なる。

 サムスン経済研究所は、本紙と共同で行った「韓中日3国の産業競争分析」を通じ、
 「2020年には全自動車市場の50%を占めることが予想されているハイブリッドカーや電気自動車など環境配慮型の自動車の開発で、韓国は日本だけでなく、中国にも遅れを取る可能性がある」
と指摘した。

 まず韓国は、未来型の環境配慮型自動車に対する投資で中国に後れを取っている。
 04-10年までの7年間で、同分野に対する韓国政府の支援・投資額は2736億ウォン(約200億円)。
 一方、中国は昨年から20年まで10年間に、17兆ウォン(約1兆2400億円)を投資する計画だ。
 また、研究・開発人材の投入面でも差は歴然としている。
 中国のハイブリッドカーや電気自動車関連の専門エンジニアは3万-4万人に上るのに対し、韓国ではいまだに 1000人にも満たない。

 一方、日本は、世界で初めてハイブリッドカーと電気自動車を量産し、未来の自動車市場に向けて確固たる地位を固めつつある。

 こうした世界情勢を踏まえ、サムスン経済研究所のポク・トゥッキュ研究専門委員は、
 「最近全盛期を迎えている韓国の自動車メーカーは、5-10年後に悪夢のような現実を目の当たりに
 しないためにも、今後は環境配慮型自動車の時代について徹底的に準備しなければならない」
と警告した。




朝鮮日報  : 2011/02/04 10:01:10
http://www.chosunonline.com/news/20110204000012



電気自動車、中国が韓国を4年も先行

 昨年9月24日、中国四川省成都市ではモーターショーが開催されていた。
 「緑色科学(グリーンテクノロジー)」というテーマで開催された同モーターショーには、中国の比亜迪汽車(BYDオート)、奇瑞汽車(チェリー)、上海汽車など中国の自動車メーカー、ゼネラルモーターズ(GM)、トヨタ、フォルクスワーゲンなど世界の大手自動車メーカーが肩を並べ、10車種以上の新モデルを発表した。
 上海汽車の主力は準中型セダンの「栄威550」で、プラグイン方式のハイブリッド車だ。BYDも今年から中国市場で発売する電気自動車「E6」を出展した。
 同モーターショーで中国メーカーが発表したハイブリッド車と電気自動車は6車種に上る。
 中国の自動車メーカーが環境対策車の開発に集中していることがうかがえる。

 1週間後の同月30日、湖南省長沙市にあるBYDの工場を訪れた。
 BYDは独自開発した電気バス「K9」の発表イベントを行った。
 王伝福BYD会長は壇上で、「長沙市政府に電気バス1000台を供給する契約を結んだ」と発表した。

■現実となった中国の電気自動車市場

 中国で電気自動車市場は「未来の市場」ではなく、「現在の市場」だ。
 北京、上海などの大都市だけでなく、中小規模の都市でも電気バスが年間 1000-2000台ずつ増えている。
 BYDが生産するプラグイン方式のハイブリッド乗用車「F3DM」は昨年発売された。
 今年からは純粋な電気自動車も登場する。
 中国メーカーが2012年までに発売すると表明した環境対策車は25車種
 内訳は電気自動車が13車種、プラグイン方式のハイブリッド車が2車種、通常のハイブリッド車は10種類だ。

 韓国の自動車メーカーが2012年までに発売すると発表した電気自動車は、わずか2車種
 それも、すべて官公庁に納入する約2000台に限られる。
 一般消費者への販売は2013年からとなる。
 次世代自動車市場で、中国は既に韓国をリードしている。

 中国はガソリンや軽油などを燃料とする内燃機関自動車では、現在自動車業界を掌握している欧米、日本、韓国に追い付けないと判断し、最初から電気自動車で覇権を狙う戦略を取った。

 中国のこうした試みは決して実態を伴わないものではない。
  2009年に米国を抜き、世界最大の自動車市場に浮上した巨大な内需市場がある上、中国政府は電気自動車など環境対策車に集中支援を行っているからだ。
 中国政府は昨年8月、国有企業16社が共同で次世代電気自動車の開発に着手し、20年までに1000億元(約1兆2300億円)を投資することを柱とする「環境対策車発展計画」を発表した。
 20年時点で環境対策車を500万台普及させるとの目標も示された。

 計画は着々と進んでいる。
 中国政府は環境対策車を購入する消費者に最大6万元(73万円)を支援している。
 また、毎年10都市を選び、各都市に電気バス1000台を供給している。
 中国政府は特に内燃機関自動車での失敗を繰り返さないため、関連技術の確保にはなりふり構わない。
 環境対策車発展計画によると、外資系メーカーが中国国内で電気自動車や電気自動車部品を生産する場合には、必ず中国の自動車メーカーと合弁企業を設立しなければならず、中国側が過半数の51%の株式を保有するとの規定が設けられた。
 こうした仕組みでは、関連技術の中国企業への供与は避けられない。
 横暴に近いルールだが、世界最大の自動車市場をあきらめることもできず、外資系メーカーは条件を泣く泣くのむしかない。

■技術で生き残る日本

 日本は現在でも世界の自動車市場に君臨しているが、未来の市場に対する備えでも韓国より先んじている。
 1997年にトヨタが世界初のハイブリッド車「プリウス」を発表し、三菱自動車も今年、世界初の電気自動車量産モデルとなる「アイミーブ」を発売した。
 日産自動車は2015年までに電気自動車を年50万台生産する能力を整える。

 次世代の環境対策車の開発、販売で先頭に立つ日本は、特許や技術標準を武器に後発国の参入をけん制する可能性が高い。
 環境対策車の特許で日本は韓国を圧倒している。
 1995-2006年に日本のトヨタ、ホンダ、日産、日立、東芝の5社が韓中日3カ国で出願した環境対策車関連の特許は8500件。
 現代自動車(292件)の30倍に上る。

 韓国は内燃機関自動車時代の模範生だ。
 第2次世界大戦以降、自動車産業に参入した後発国の中で、唯一独自技術で乗用車の開発に成功し、2005年以降は世界5位の自動車生産国となった。
 短期間に目覚ましい躍進を遂げた格好だ。
 しかし、現在の成功は未来の足かせとなっている。
 韓国の自動車メーカーは、電気自動車など次世代の環境対策車が内燃機関自動車に短期間で取って代わるとは考えず、現在も内燃機関自動車の生産に依存している

 昨年9月30日、パリ・モーターショーの会場で、ルノーのカルロス・ゴーン会長は電気自動車3車種を公開し、
 「来年からそれぞれ2万台規模で販売を開始する」
と発表した。

 自動車市場調査会社、CSMワールドワイドのロビネット副社長(市場予測担当)は、パリ・モーターショーに出展された車種について、
 「電気自動車の時代が一般消費者の予測よりも早く到来しているようだ
と分析した。






朝鮮日報  : 2011/02/04 10:06:11
http://www.chosunonline.com/news/20110204000017

国・車種別に分かれる自動車市場

 自動車産業は現在、100年という長い歴史の中で最大の激動期を迎えている。
 100年にわたって歴史をリードしてきた内燃機関の自動車が、今後はどのような環境配慮型自動車へと進化していくのか、10-20年の間にその輪郭が明らかになるのは目に見えている。

 すでに世界の自動車市場は、車種や地域によって優劣が分けられる破片的な構造を形成する兆しを見せている。
 大きくは、内燃機関車市場と環境配慮型市場の二つに分けられる。
 まず、内燃機関車市場は先進国市場と新興国市場に二分される様相だ。
 現在、確実にシェアを伸ばしている新興国市場では、安価な小型車が主流を成しており、今後もしばらくは同じような傾向が続くと予想される。

 一方、環境配慮型市場は、内燃機関車市場よりもさらに破片的な構造となる可能性が高い。
 現在、環境配慮型市場にはハイブリッドカーを含む電気自動車、プラグイン・ハイブリッドカー、クリーン・ディーゼル車、燃料電池自動車、エタノール自動車などさまざまなタイプが登場している。
 しかし、互いに長所や短所を持ち合わせており、すべてを圧倒できる主導的なモデルはまだ登場していない。

 こうした中、世界的な経済危機以降、各国政府が環境配慮型自動車の育成に深く介入し、国家ごとに強みを生かした環境配慮型自動車が続々と開発されている。
 日本はハイブリッドカー、米国はプラグイン・ハイブリッド、欧州はクリーン・ディーゼル、中国は電気自動車、ブラジルはエタノール自動車といった具合だ。
 しかしこうした傾向は、国家別に環境配慮型自動車のタイプが異なる閉鎖的な市場を形成しかねない。

 こうなると、世界の自動車市場は内燃機関車市場と環境配慮型市場に大きく分けられ、その中でもさらに先進国市場と新興国市場に分離されることだろう。
 また、環境配慮型自動車は、さまざまな車種が国家別に分けられることになる。
 こうした市場構造では、韓国の自動車産業が長所とする「先行型の大量投資」の利点が発揮されにくい。
 地域別に異なる形態の車種が小規模な市場を形成するという変化に対し、どのように対応していくのか、現在、韓国の自動車産業が最も真剣に取り組むべき課題と言えるだろう。


 もし、韓国車が生き残れるとしたら、
 「地域別に異なる形態の車種が小規模な市場を形成する
ところで、小規模メーカーとして頑張るしかない、ということのようである。



朝鮮日報  : 2011/02/04 10:03:31
http://www.chosunonline.com/news/20110204000015
韓国企業、ITとバッテリーで自動車市場攻略


 韓国は、ハイブリッドカーや電気自動車など、次世代の環境配慮型「自動車」分野における先駆者ではない。
 しかし、環境配慮型の自動車生産を支える基盤技術と部品産業は健在だ。
 電気や電子など、IT(情報技術)分野で力強い競争力を維持しているほか、電気自動車の中核分野であるバッテリーやモーター、インバーター分野で世界トップクラスのメーカーが存在するためだ。

 LG化学は、電気自動車用のバッテリー部門で世界最高の競争力を持つメーカーとされている。
 すでに、ゼネラルモーターズ(GM)やフォード、ボルボ、ルノーなど世界的な自動車メーカーが量産している電気自動車に、バッテリーを供給する方向で契約を結んだ状態だ。
 また、大宇自動車出身の優秀なエンジニアを中心に「V-ENS」という自動車総合設計会社も運営している。

 サムスンSDIは、世界最大の自動車部品メーカーであるドイツのボッシュと共に、電気自動車用のバッテリーを作る合弁会社「SBリモティブ」を設立し、電気自動車時代の到来に備えている。
 また、サムスン・テックウィンは、イン・ホイール・モーター(四つのタイヤにそれぞれ内臓するモーター)を開発している。
 これは、電気自動車に使用されるモーターの中でも最先端技術が必要なモーターとして知られている。

 SKエナジーも、自動車バッテリー事業に参入し、電気自動車専用バッテリーを開発した。
 また、電気自動車関連の情報事業に活用できるガソリンスタンド網と通信網を所有しているということも、大きなアドバンテージとなっている。

 現在、化学や電気、電子分野の事業に力を注いでいる企業は、自動車産業が電気自動車時代を迎えるころには、自動車関連企業として浮上するチャンスに恵まれることになるだろう。


 この記事のいうように、
 「自動車産業が電気自動車時代を迎えるころには、自動車関連企業として浮上するチャンス」
が、もう一つの残された選択肢、だということであろうか。




 <future design> 



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