2011年2月4日金曜日

未来船へ特化して

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● 朝鮮日報「韓・中・日 新経済大戦」より



朝鮮日報 : 2011/02/05 09:07:07
http://www.chosunonline.com/news/20110205000008

リベット工法の英国、溶接の日本、ドックの韓国

 リベット工法の英国から溶接の日本、ドックの韓国へ…。

 世界の造船業界における主導権争いの勝者は、技術革新と逆転の発想をもたらした後発走者だった。

 1950年代まで、世界の造船業界で絶対的な強者は英国だった。
 英国は木造船から鉄の船へと時代が変わる時期に、2枚の鉄板の先端を重ね合わせて穴を開け、火で熱した太い鉄の釘を打ち付けるリベット工法を開発した。
 英国はこれによって、第1次大戦で戦艦需要を満たし、世界の商船や旅客船市場にまでその覇権を拡大した。

 英国のリベット工法を克服したのは日本の溶接・ブロック工法だ。
 船体をいくつかのブロックに分け、それぞれの部分を製造した後、これらを溶接して組み立てるという工法だ。
 韓国戦争(朝鮮戦争)当時、米軍から技術を学んだ日本は、この工法を商船の製造に応用し、生産性と品質を画期的に引き上げることに成功した。

 溶接の日本を克服したのは、「ドックの魔術」を生み出した韓国だった。
 石油ショックによって世界経済は好景気を終え、世界の造船業界は 1975年から90年まで、長期の不況に陥った。
 誰もが投資をためらっていた時期に、韓国では世界最大規模のドックが相次いで建設された。

 90年代半ば以降、世界の造船業界は再び好況を迎え、ドックの大型化を目指した韓国の投資は結実を得た。
 しかし、韓国造船業界が生み出した「ドックの魔術」は、このときが本当のスタートだった。
 それまで、大型船はドックで建造しなければならない、というのが造船業界の基本的な常識だった。
 しかし、数千億ウォン(1000億ウォン=約72億円)もの資金と数カ月の期間を要するドックを建設しても、受注を確保できなければ、造船所は一気に存亡の危機を迎えることになる。

 日本はこのような固定観念にとらわれ、設備投資を続けることができなかった。
 しかしサムスン重工業は2001年、陸地で製造した大型船のブロックを海上に浮く作業台に移動させ、そこで建造してから作業台を沈め、船を進水させるのに成功した。
 いわゆるフローティング・ドック(浮遊式ドック)だ。
 現代重工業は蔚山造船所にある九つのドックでは足りないほど注文が殺到した際、陸上建造という奇抜なアイディアを考案した。
 陸地で船を建造し、超大型クレーンと空気浮揚施設を利用してバージ船に移し替え、そのバージ船を沈めて船を進水させるという方法だった。




朝鮮日報 : 2011/02/05 09:00:26
http://www.chosunonline.com/news/20110205000004
韓国造船業界、中国に奪われた世界1位の座

 飛行機が中国・上海の浦東国際空港に近づいたころ、窓の外には、長江河口の黄色い波の向こうに巨大なクレーンが見えた。
 長興島にある江南造船所だ。800トンクラスの巨大クレーンの上には、「江南長興」という大きな文字が刻まれている。
 江沢民元国家主席が2004年に訪問したことを記念して揮毫(きごう)した文字を拡大したものだ。

 この造船所では、ドック(船舶を建造する施設)を新たに建設する工事が行われている。
 年間450万トンという現在の建造能力を、2015年には1200万トンにまで拡張するための工事だ。
 現存する世界最大の造船所、現代重工業(年間の建造能力800万トン)を上回ることになる。

■韓国から学び、韓国を追い越す

 リーマン・ショックの影響で、世界の造船業界が史上最悪の不況に苦しんだ2008-09年、中国の広州、上海、大連など東部沿岸の3大造船所では大々的な拡張工事が行われた。
 天津と大連を拠点とする中国船舶工業集団(CSIC)では、900万トンの建造能力を1100万トンに、朱江河口にある広州造船団地では同200万トンから300万トンに拡張する工事が、今まさに行われている。

 造船業界の不況で各国が生産設備を縮小する中、逆に大規模な投資を行う。
 これは、30年前に韓国の造船業界が選択した方法だ。
 世界の造船業界で不況が続いた1970年代半ば以降、現代重工業と大宇造船海洋は相次いで世界最大の造船所を、またサムスン重工業は世界最長となる640メートルのドックを建設し、造船市場へと積極的に進出していった。
 韓国の造船業はその後も成長を続け、30年後にはついに日本を抜いて世界一の座に上り詰めた。
 韓国は 03年に船舶受注量(すでに確保した分)、建造量などあらゆる指標で日本を抑えた。

 中国は、韓国の造船業が世界一となった方法を徹底して研究し、その通り実践している。
 不況時に造船所を拡張し、集中的に受注していくという戦略を展開しているのだ。
 しかし、そのペースは韓国をはるかに上回る。
 中国の造船業界が海外発注の船舶を初めて受注し、世界の造船市場に進出したのは1998年。
 それから12年で、中国は受注量、受注残量、建造量のすべてで韓国を抑えた。

■中国は韓国の成功方式通りに実践、韓国を抜くことに成功

 「量的には抜かれたかもしれないが、技術面ではまだ不十分なため、限界がある」

 これは造船業界での韓中逆転について、韓国の造船メーカー各社がよく口にする言葉だ。
 十数年前、日本の造船業界関係者も同じようなことを話していた。
 当時、日本造船工業会の会長だった相川賢太郎氏は、韓国が受注量で日本を追撃していたころ、
 「量的には追い抜くかもしれないが、技術面ではまだ不十分なため限界がある」
と述べた。
 しかしその後、日本は40年にわたり君臨してきた世界1位の座を韓国に譲り渡し、LNG(液化天然ガス)、ドリルシップなど高度な技術が必要な分野でも韓国に押されている。

 中国はどうだろうか。
 中国の滬東中華造船は昨年6月、イランの国営石油会社NITCから1隻当たり2億ドル(約162億円)から2億2000万ドル(約179億円)で6隻のLNG運搬船を受注した。
 中国の造船業界で初のLNG船受注だ。
 韓国、日本、欧州だけで製造可能だったこの船を、今や中国も製造することができるようになったのだ。

 もちろん中国造船業の大躍進には、リーマン・ショックによって世界の船舶発注が80%近く減少したことや、中国政府が国営海運会社発注分の72%を、自国の造船メーカーに振り向けたことが大きく影響している。
 また、 2兆ドル(約162兆円)に達する外貨保有を武器に、海外の船主に破格の金融支援を行っていることも、受注増に影響した。
 一昨年8月、イランNITCが超大型タンカー12隻を発注する際、韓国と中国のメーカーが激しい受注合戦を繰り広げたが、結果は韓国の完敗で、中国の2大造船メーカー、CSSCと CSICがそれぞれ6隻ずつ受注した。
 中国国営銀行が価格の90%を融資するという条件を提示し、韓国メーカーは競争などできるような状況ではなくなった。

 船舶の建造は、多く経験を積むほど技術力が高まる。
 例えば3隻を一度に受注すれば、最後の3隻目を建造するときには、1隻目に比べて生産性が15%以上向上するといわれている。これは造船業界の特性だ。

 産業研究院の洪性仁(ホン・ソンイン)研究員は、
 「豊富な受注によって中国が経験を積み上げていけば、技術面でも予想以上に早く、韓国を追い抜く可能性がある。この点を忘れてはならない」
と指摘した。




朝鮮日報  : 2011/02/05 09:04:21
http://www.chosunonline.com/news/20110205000007

韓国造船業界、製造だけでは中国に勝てない

 造船産業における競争力の判断基準をどこに置くかによって違いはあるが、中国の造船産業は製造業(メーカー)次元では韓国を追い抜くだろう。
 それでは、韓国はどのような活路を見出すべきか。
 まずは造船産業の範囲を幅広く捉え、自ら市場を拡大していく開拓者精神が必要なのは間違いない。

 そのため、韓国企業は船舶メーカーから脱却し、サービス業へと生まれ変わることが必要になる。
 韓国が造船業を通じて積み上げたさまざまなノウハウを、中国が一気に抜き去るのは難しいだろう。
 これを事業として積極的に活用しなければならない。
 船舶の運営、管理、保全に関するサービス分野へと進出する方向を模索する必要があるということだ。
 最近は、各国が環境規制を強化している。
 そのため船舶分野でも省エネ、エコを追求する流れが形成されるのが確実なため、船舶を活用するソフトウエアを新たに開発するといった運営、管理面でのサービス需要も増えてくるだろう。
 造船関連のサービス分野は、韓国の造船産業に新たなチャンスをもたらすに違いない。

 また、これまで積み上げた造船業の力量を、今後も限りない成長の可能性がある海洋開発分野へと拡大しなければならない。
 そのためには、造船所は単に船を製造するのではなく、海と関連するあらゆる開発事業を手掛ける海洋開発業へとビジネスの範囲を広げなければならない。
 例えば海洋プラントの建設、海洋油田開発、海洋建設事業も、韓国の造船業界が競争力を確保できそうな分野だ。

 もちろん、このような変身を追求したとしても、現在韓国が確保している高負付加価値船舶中心の船舶製造は今後も続けなければならない。

 韓国造船業界の規模や産業全体の比重を考えると、量的側面も決して放棄することはできない。
 競争力のある部分だけを生かして規模を小さくすれば、日本や欧州の造船産業のように、再び世界的な主導権を確保するのは難しくなるからだ。



 造船技術というのは半世紀前に完成している。
 よって、技術の追求ということから考えると、大きな成果は上げられない。
 鉄板の精度を向上させ、薄膜板にして重量を減らすとか、エンジンを改良して速度を上げるとかといったものである。
 発展途上国にとっては、ひじょうに安易に学びやすく、眼に見える大きな完成品は自尊心をくすぐる。
 日本もそれで大きな失敗をやらかした。
 軍艦を自分で造れるようになって有頂天になり、世界大戦へと突っ込んでいった。
 造船というのは、強いていえば中の下クラスの技術なのである。
 だがしかし、ものがでかいだけに経済的貢献は大きい。
 新興国はそれを狙う。
 今の日本がターゲットにする産業技術ではない。
 量を目的とすべきものではない。
 量は造れるところが造ればよい。
 基本的な部分をおさえ、未来船へと特化すべきものである。 





 <future design> 



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