2011年2月5日土曜日

結局は「頭脳戦争」

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● 朝鮮日報「韓・中・日 新経済大戦」より


 ただ労働力のために人口を増大させるという時代は終わったということ。
 労働力を「パワー」として見るのは過去の経済学。
 発展型経済では「パワー」が必要。
 が、日本はすでに発展型経済から運用型経済に移行している。
 発展型経済はバブルで終わった。
 現在では過去に4人必要であった生産量を、3人で達成できるところまできている。
 そのため、「人余り」の世界に突入している。

 発展させるにはアクセルを踏み込まないといけない。
 さすればエンジン回転数があがり加速する。
 これが
発展型加速型経済の図。
 しかし、定型走行に入ったら、もはやアクセルを踏むことはしない。
 ちょっと脚をペダルにおくだけ。
 ここでさらに踏み込んでいったら、時速150キロ、そして200キロになり暴走してしまう。
 200キロで安全に運転できるのはF1ドライバーだけだ。
 いかに車を安全に運行させていくかがこれからの国民的主題になる。
 これが、
運用型経済
 パワーは必要ない。
 労働力は必要ない。
 過剰な人口は必要ない。

 日本民族個体は人口を過剰だと察知し、少子化傾向を加速させている。
 いわゆる、刷り込まれた
生物学的「個体調整」が発動されている。
 現在の人口は1憶2700万人ほど。
 日本の人口は2040年から2050年の間に、1億人を切る。
 人口が今の8割になる。
 5人に1人はいらなくなるのである。
 しかし、それでも旧来の生産量は維持される。
 個体調整はさらに進行すると言われている。
 予測の最速値では、2055年には9,000万人というのが’ある。
 人口研究者は
9千万人で「ソフトランデイング」させたいという。
 人口というのはただ減り続けるというものではない。
 ウエーブを描く。
 減り過ぎたと感じたら、生物的「個体調整」が増加方向に動き始める。
 過去統計からして「8千万人」を下回ることはない
 人間と云えども動物である。
 「
種保存の法則」は絶対的に強力である。
 8千万人から9千万人、この間に
静止人口があるという。
 いいかえると、その
分岐点を上限の「9千万人」に置きたいというのが人口研究者の願いである。


 これから必要なのはパワーではない。
 頭脳であり、知識だ。
 モノ経済から知識経済へと時代は進んでいく。
 やたらと量を求める時代は過去のものとなっている。
 これが、現在進行している状況。
 間違えても、パワー増加など考えてはいけない
 もちろん考えてもいい。
 でも、生物生態的本能が拒否するだろう。
 でなければ、個体は生存していかれないから。


朝鮮日報 : 2011/02/05 11:13:51
http://www.chosunonline.com/news/20110205000023

日・中も未来産業にすべてを賭ける

 日本と中国も将来の経済戦争で勝者になるため、徹底して戦備を整えている。

 日本の経済産業省(経産省)は昨年6月2日、「産業構造ビジョン2010」という総合産業戦略を発表した。
 急変する国際競争の秩序を反映、今後10年間で日本は何をして生き残っていくのかを網羅したものだ。

 経産省は、「国の産業構造や企業ビジネスモデルの全面的な転換はもちろん、政府の役割にも一大変化が求められる」と指摘した。
 産業構造再編の核心は、自動車産業に対する過度な依存から脱皮する必要があるという点だ。
 経産省によると、2000年から07年までの国内総生産(GDP)増加額48兆円のうち、18兆円が自動車関連産業によるものだったという。

 経産省は、「こうした構造ではこれ以上の成長は不可能」と報告、新産業5分野を戦略的に育成していくことを決めた。
 指定されたのは、
①. インフラ輸出、
②. 環境・エネルギー産業、
③. 文化産業、
④. 医療産業、
⑤. 宇宙
などの先端産業の5分野だ。
 この5分野だけで、10年後の2020年に149兆円のGDPを新たに創出するという壮大な計画だ。

 行動計画も立てられた。
 例えば、インフラ輸出に関しては、年金・基金のインフラファンド投資がしやすくなるよう制度を整備し、国策銀行を通じた借款支援の大幅拡大も決めた。
 官民合同のインフラ輸出支援会社もすでに設立している。
 また、文化産業育成のため、外国人が日本的な生活スタイルに対し「あこがれ」を抱くようにすることに焦点を合わせる。

 税制改革や、海外から優秀な人材を招く計画も駆使する。
 現在40%台という法人税を順次25%台まで引き下げ、海外から人材を迎える企業にはさまざまな制度的恩恵を与える。
 先端産業分野を網羅した「連合大学院」設立計画も検討中だ。

 中国は昨年9月8日、温家宝首相の主宰で行われた国務院常務会議で、
①.省エネ・環境技術、
②.次世代情報技術(IT)、
③.バイオ技術(BT)、
④.新エネルギー、
⑤.新素材、
⑥.先端設備製造、
⑦.新エネルギー自動車
 を「7大新興戦略産業」に育成する、という計画を決めた。

 中国政府はこの新興戦略産業に対し思い切った税制優遇を行うほか、金融支援を大幅に強化し、民間資本と海外資本の投資も積極的に誘導するという方針を明らかにした。
 中国政府の「7大新興戦略産業計画」は、08年の世界的な金融危機で中国政府が打ち出した4兆人民元(現在のレートで約48兆8510億円)の大規模景気浮揚策に匹敵する。

 4兆元の景気浮揚策が金融危機を利用し中国のインフラ水準の大幅引き上げに政策の主眼を置いたものとすれば、7大新興戦略産業計画は産業構造の高度化と国際競争力強化が焦点といえるだろう。

 7大新興戦略産業に対する中国政府の財政投資額はまだ最終決定していないが、第12次経済開発5カ年計画(11-15年)の期間中に、各分野に1000億-3000億元(約1兆2213億-3兆6638億円)が投じられるだろうという見通しもある。

 7大新興戦略産業計画には、輸入代替効果を狙う意味もある。
 環境技術、情報技術、新素材、先端設備分野などを中心に中国国内の企業を多数育成し、中核技術・製品における海外依存度を減らすということだ。
 まだ産業化の段階に入っていない電気自動車分野は、世界最大の自動車市場という利点を生かし、中国で真っ先に市場化に成功させようという野心的な構想もある。





朝鮮日報 : 2011/02/05 11:08:44
http://www.chosunonline.com/news/20110205000020

「結局は頭脳競争、海外の優秀人材を誘致せよ」

 「第2のKAIST(韓国科学技術院)、第2のポステック(旧浦項工大)を地方ではなくソウルに」

 「科学技術界でスーパースター級の海外人材100人の誘致を」

 中国の猛追を受け、日本をはじめとする先進国の企業と激しく競争する韓国の主要企業の最高経営責任者(CEO)は、
 「韓国の製造業が今後も競争力を維持するためには、画期的な人材育成に全力投球しなければならない」
と提言した。

 尹富根(ユン・ブグン)サムスン電子映像ディスプレー事業部社長、梁承錫(ヤン・スンソク)現代自動車社長、権五哲(クォン・オチョル)ハイニックス半導体社長、金権泰(キム・グォンテ)現代重工業電機・電子システム事業本部長は、本紙のシリーズ企画「韓・中・日新経済大戦」を終えるに当たり行われたインタビューで、
 「未来産業の覇権をめぐる勝負は、結局は人材にかかっているが、韓国はあまりに準備が足りない」
と異口同音に訴えた。

■画期的な人材育成策、誘致策を

 CEOのうち、人材の育成と誘致を最も強く主張したのは、未来産業である太陽光事業を担当する金権泰本部長だった。
 現代重工業は韓国最大の太陽光関連企業で、金本部長はそこで太陽光事業を統括する立場にある。

 金本部長は
 「世界最大の太陽光都市といわれる中国山東省徳州市には、太陽光の専門人材を育成する大学があり、学費は全額免除だ。
 韓国はやっと太陽光分野を専攻可能な大学院課程を設置するレベルにすぎない」
と述べた。

 尹社長も「人材不足を実感している」とした上で、
 「次世代スマートテレビ(インターネットに接続し、さまざまなコンテンツを楽しめるテレビ)事業を準備する過程で、それを実現するハイレベルのソフトウエア関連人材が、韓国ではいくら探しても見つからなかった」
と述べた。
 結局は米国企業と提携契約を結び、解決するしかなかった。

 画期的な方策を示す人材もいない。
 金権泰本部長は
 「第2のKAIST、第2の浦項工大をつくるとか、それでも足りなければ、国籍を問わず海外から専門人材を誘致するとかしなければならない」
と語った。
 黄昌圭(ファン・チャンギュ)知識経済部知識経済R&D(研究開発)戦略企画団長も、
 「100人でも、1000人でも、世界のスーパー級の科学技術人材を集め、彼らが企業や大学、政府機関にいつでも行けるように支援すべきだ」
と主張した。

 サムスン経済研究所は、既に各国ではハイレベルのブレーン確保に向けた激しい競争が展開されていると指摘した。
 カナダは優秀な基礎研究人材に比べ不足している商業化分野を強化するため、環境、情報技術(IT)、ヘルスケアなど4業種を国家重点研究分野に指定し、最優秀研究者約20人を誘致した上で、7年間で毎年140万米ドル(約1億1400万円)を支援するプロジェクトを進めている。

 中国は2008年に開始した「1000人計画」で、海外の著名な科学者1000人を誘致している。
 昨年8月までに825人の誘致に成功した。

■未来の競争で遅れ懸念

 世界トップクラスの企業のCEOとして、彼らが感じる危機感は大きい。
 尹富根社長は
 「生き残らなければならないというプレッシャーで毎日、血の気が引くほどの競争をしている感覚だ。
 日本メーカーも手ごわいが、中国の力は予測不能なほど恐ろしい」
と述べた。
 尹社長はまた、
 「10年前にデジタルテレビがアナログテレビを淘汰(とうた)したのと同様の破壊力でスマートテレビが市場地図を塗り替えることもあり得る」
と指摘した。

 梁承錫社長は
 「現在はトップを懸命に追い掛ければよいが、将来は自ら開拓しなければならないのではるかに苦しい」
と漏らした。
 これまではトヨタなどの先進メーカーが先生の役割を果たしてきたが、現代自が「世界トップ5」入りを果たしてからは、霧の中の道路を先頭で走るように、リスクと試練にさらされている。

 権五哲社長は
 「スマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット型パソコンのようなスマート機器の普及で、半導体分野の競争はますます激しくなっている。
 東芝、エルピーダメモリなど日本の半導体メーカーも毎年巨額の投資を行っており、安心していたら死んでしまうという危機感を感じる」
と語った。

■政府は未来産業に積極投資を

 金権泰本部長は
 「太陽光分野で中国が規模はもちろん、技術面でも既に韓国を上回っている。
 特別な措置を講じなければ、韓国企業は永遠に世界をリードする企業には加われない」
と危機感をあらわにした。
 7-8年前までは、太陽電池分野で500億ウォン(約36億円)を投資しただけで世界トップ10入りを果たすことができたが、5年後には2兆ウォン(約1440億円)を一度に投資することが必要になった。
 金本部長は「韓国企業の世界トップ10入りの成敗は3年以内に決まる。
 現在最も重要なことは、太陽光産業が将来の重要産業になるという確信を抱き、果敢に投資を行い、絶えず技術開発を進めることだ」と提言した。

 梁社長も
 「ハイブリッド車や電気自動車のような環境対策車は、必ず向かうべき将来方向だ。
 しかし、量産に必要な巨額の費用にどのように持ちこたえていくかという問題は、国家レベルで細かい計画と備えが必要だ」
と注文を付けた。


 未来とは「頭脳」である。
 モノを作るシステムには、頭脳を作るシステムが必要である。
 労働力としてのパワーはいらない。
 頭脳としてのパワーが欲しい。
 それが、未来を決めていく。
 強いていえば「
オタクが欲しい」のである。
 ロボットに代替できるような忠実な労働力などはいらないのである。
 人口は少なくていい。
 オタクが欲しいのである。

 




 <future design> 



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